40年前の場所

以前にGoogle+で投稿をして、いただいた情報を元に確認中だった４０年ほど前の写真。
写っているのは山とロープウェイと思われるケーブル、海と合間の街並み、左奥に陸地。アルバムに貼ってあった順番からおそらく箱根近辺だろう、というわかりやすいようでそうでもない写真。

他の写真は芦ノ湖と富士山が写っていたり、看板が写っていたりですぐわかったのだけど、この写真だけどうにもわからなかった。奥に見えているのは海で芦ノ湖ではないし、ロープウェイのようだけど看板も目印もない。舗装はされていないけど、その辺は40年の月日で完全に変わっているだろう。

いろいろもらった情報の中でも一番有力！と思いながらなかなか行けなかった「箱根駒ヶ岳ロープウェイ」
先日ようやく行ってきた。以前に行った時は強風で運行中止してたけどこの日は無事運行してて、そこそこ観光客の方も。山頂に着いてまずロープウェイ駅の建物の古さに驚く。まるで廃墟に見える…

４階の食堂へ行くエレベーターがあった跡

駒ヶ岳ロープウェイは昭和38年開業。当時の建物のままだとしたら年季が入ってるのも納得。山頂だしまわりに何もない吹きさらしの環境だし、朽ちてくスピードは早そう。
山頂には昔スケートリンクがあって、大学のアイススケート部なんかが合宿に来ていたそう。賑わっていたんだなぁ。現在は跡形もなく広い草地となってる。

箱根元宮

箱根駒ヶ岳ロープウェイ頂上駅

この写真の左部分の草地がスケートリンクの建物があった場所。

3月だというのに山頂には数日前に降った雪が若干残ってて遮るものが何もないため、すごい強風。寒かった…。けれど富士山も見えてたし、またここには「箱根三社」のひとつ、「箱根神社元宮」がある。（あとの２つは箱根神社と九頭龍神社）縁結びのパワースポットらしいので参拝して友達の縁結び御守りを購入。いい御縁がありますように。

ぐるっと散策して、写真の場所と思われる方へ行ってみる。

ロープウェイの場所が変わる事はまず無いだろうと思って、ロープウェイ右側に回り込んで写真と見比べ…。

うーーん…。視界に芦ノ湖が入らないぐらいまで後ろに下がったり横にズレてみたりしたけれど、どうしてもココだと眼下に芦ノ湖が入る。

横に広がる山並みとか右奥の海は似た感じなんだけど…うーん。友達も巻き込んで2人で確認。

写真と目の前の光景を交互に見ながら「違うかなぁ違うよね…」と２人してモヤモヤ。一番期待していた有力候補だったのだけれど、明らかに見えてる風景は違う…
双眼鏡のある場所が高台に変わったりとかあるかな、とは想像してたけど、そんな感じでもない。芦ノ湖がどーんといらっしゃるもんなぁ。残念ながらここではないな…。
でもようやく来れたし富士山も見れたし、標高１３００m超えの眺めは素晴らしいし！参拝も済ませてそろそろ下山しようか、とロープウェイ乗り場に行くと切符売り場の事務所内に年配の男性を見かけて、諦めきれず思わず声を掛けてみる。

すみませーん。

「はい？」
あの、すみません、ここにもう長くいらっしゃいますか？？

「？？」
40年前に撮ったこの写真の場所を探してるんです。

「…あー、この左の黒いのはロープウェイだね。うん。…うーん、ここにはこういう赤い双眼鏡はなかったよ。うん。ここではないんじゃないかな。」
あぁそうなんですね…ありがとうございます。
（ここからスケート場で賑わっていた頃の話とか教えてもらった）

そっかぁ…。
残念だけどハッキリ違うとわかってよかった。むしろちょっとスッキリとした感じでロープウェイの時間になったし下山しようー、と改札に向かうとさっきの男性がこちらに（笑
再度「ありがとうございました」と声を掛けると、「いえいえ、また来てね」と笑顔を見せてくれた。うん、また来ますね。

駒ヶ岳山頂より富士山

箱根の大涌谷へと続く「箱根ロープウェイ」
伊東にある大室山へ登る「大室山登山リフト」
そして「箱根駒ヶ岳ロープウェイ」

箱根近辺で現在あるロープウェイだとこんな感じ。
そしてすべて行ったけどすべて違った。
写真には海が見えてるから富士山とか海から離れた場所じゃなくて箱根、もしくは海に割と近いと思うんだけれど、どうやって探したらいいんだろう。
はぁ…。なにか手がかりないかなぁ…って思っていたら。

翌日、一緒に箱根に行っていた友達からLINEが。

「職場の先輩に聞いたらその昔湯河原ロープウェイというのがあったらしいよ」と。

えっ。まじか！！確かに私が子供の頃にあったとしても今もあるとは限らない。

早速調べてみるも8年で営業を終了したらしく、写真も記事もほぼネット上に出てこない。

閉鎖しててもいいから、ここだ！っていう確証が欲しい。その山頂からの眺めが見たい。開業当初の宣材パンフみたいなのでも何でもいいからないかな。

そう思ってひたすら検索してると登山者の方のブログで「当時の痕跡はない＆電波中継の鉄塔があるのみ、車一台分の舗装路はあったけれど現在車での通行は出来ず」という記事を見かけた。写真が添付されてるけどみんな富士山方面を撮っているものだったりで、肝心の海の方向の景色がわからない。

ネット上での検索は難しそうなので、あとはもう現場に行くしかない。登山か…。藪を漕いで行ったとか書いてあるよ…
としばしモニター前で固まる。むぅ。

それかあとは湯河原町の管轄だったみたいなので役場に問い合わせてみるしかないかな…。

迷いつつ煮詰まって母に写真を送りつけてから電話してみる。「この写真覚えてない？？」って以前にも同じように何回か聞いていてその度に覚えてないと言われているけど。けど。

「あんなの覚えてないわよー」

ですよねー

「ドライブはほとんど行ってないけど…ロープウェイねぇ…乗ったかなぁ」

なんとか思い出してー！数少ないなら尚更なんとかー写真からの手がかりが少ないんだよー

「そうねぇ。やっぱり写真撮る時は看板とか入れて撮らないとだめね^^」
ああ、うんそうね、ってそうじゃなくてえぇぇ｡+ﾟ(ﾟ´Д`ﾟ)ﾟ+｡笑

「えー。○○（一番下の弟）がまだいない時でしょ？？」

いやいや、同じ日に撮ったと思われる写真には写ってるよ○○。まだ赤ちゃんだけど。

「あら、そう。じゃあ遠くには行ってないはずだから箱根らへんだと思うけどねぇ…」

うーん、わかった。もし思い出したら教えてーじゃあね。

電話を切ってしばし…

あっ。

湯河原ロープウェイの情報は数少なかったけど、閉鎖したのは昭和52年1月って書いてあった。弟が生まれたのは同年7月。写真に写ってた弟はおそらく1歳くらいなので撮ったのは昭和53年頃。

ロープウェイ閉鎖してからもしばらくは登れた…？車で行ける場所でケーブルだけしばらく放置されてたとか？でも地図で見る限り山頂へ行く大きな道路はないし、父がそんな場所へ乗り込んでいくとは思えない。これはなさそうだなぁ。

再び悶々としながらGoogleマップを3Dでグリグリと動かしてみる。そうだ、こういう機能あったんだそういえば。湯河原ロープウェイがあったと思われる場所を見てみるも、角度が違う。左に見えるはずの陸地が見えない。

🔽昔の写真では分かりにくいけど左のほうに半島らしき陸地が見えてる。

おそらく35mmとかで撮ってるだろうから圧縮効果で近くに見えた、って事もなさそう。

箱根近辺で半島というと真鶴半島しかない。

場所的には湯河原ロープウェイのトコも近い感じがするんだけどな…

微妙に角度を変えながら、位置を移動しながらGoogleマップをグリグリグリグリ

…。

………。

ん…？？

あっ！！

似てません…？

山の感じ、間の町の感じ、左に真鶴半島も見える。

Googleマップ3Dで見るとかなり上空からなので高低差の見え方の違いはあるけれど、かなり酷似してる気がする…！

友達にも送ってみると「間違いないんじゃない？？」

だよね。そうだよね。私もそう思う。

ここは湯河原ロープウェイのあった場所よりもっと熱海寄りのところにあったドライブイン。

昭和42年開業、昭和45年に営業停止してから廃墟になっていて現在は建物もなくなってる。その背後の海沿いの街にあった「熱海サボテン公園」とドライブインを繋ぐロープウェイがあったらしい。

当初営業していたのは3年間。3年…？！ほぼ幻じゃないの…。あれ？でもそうしたら弟はまだ生まれてないからやっぱり違うのかな…。と思ったら3年の営業期間終了後、少し間を空けて規模を縮小した形で再開、けどまたすぐ閉鎖してる。維持大変だったんですなぁ…。

そして肝心のロープウェイはというと
＞ゴンドラなどのロープウェイ施設は1983（昭和58）年頃まで放置されていた

！！！

そんなに放置されてたんだ？撤去するにも資金が必要だし、長いこと手付かずだったんだね。
ってとこでほぼ確信。伊豆スカイラインの道路沿いなので行きやすい場所だし、間違いないココだろう。

とは言えまだ自分の目では確かめていない。

ちょっと興奮しながら更に検索してみると、施設が撤去される前に訪れた方達が載せてた写真の中にほぼ同じ構図の写真があった。

グーグルマップの投稿写真より

ここだ…。長い事時間かけてゆっくりしたけれど、友達の助言から一気にすすんだ。そしてGoogleマップ3Dすごいな。

今のネットの世界って余計な情報も多いけど、今回は本当に有り難かった。

あとは自分の目で確かめてくるだけ。

同じ場所には立てないと思うけど、見えてる景色だけでも確かめてくる。

いろいろ情報をくれた人たち、

付き合ってくれた友達、

脳のシワを伸ばしてなんとか思い出せ、と脅された母、

見つかるといいね、と声掛けてくれた人、

みんなありがとうございます。

きっと父さんが応援してくれたかな。
父さんわからーん！助けてー！って叫んでたから笑