定番の洞爺湖(とうやこ)周辺
バスガイドの仕事には道内外の観光ツアーの他に団体様や修学旅行なんかもありました。
修学旅行は私は主に小学生を乗せる機会が多かったです。札幌からだと洞爺湖あたりでお泊まり。
洞爺湖は有珠山や昭和新山、夜は花火大会などもやっててかなり賑やかな記憶があるんですが、ガイドを辞めてウン十年、数年前に訪れた時に平日の昼間だったからなのかその閑散とした街並みに唖然としました。まだまだ温泉街として活躍はしてるようですが。
洞爺湖のすぐ近くに有る有珠山(うすざん)は2000年に噴火しているのでまだ記憶にある人も多いかも知れないですね。それと洞爺湖サミットも。
洞爺湖の面積はそれほど大きいものではなく、国内では9番目。
まわりが「支笏洞爺国立公園」になっているのと新千歳空港からアクセスしやすい(洞爺湖まで2時間くらい)のもあって観光に訪れる人が多い場所です。
有珠山と昭和新山、どちらも有名な活火山ですが昭和新山はその成り立ちが特殊な山です。
もともとはただの麦畑だった場所に噴火が起こり、粘性の高い溶岩によって徐々に高くなっていって高さ398mまでなりました。
この特殊な成り立ちで大きくなっていく山を隣の壮瞥町(そうべつちょう)に住む郵便局局長の三松正夫さんが定点観測をして日々スケッチをとって記録したものがあり、貴重な観察記録として保存されています。(その記録をGIF画像でわかりやすくしてるサイトを見つけました。興味がある方はどうぞ▶️まっくろクロスケ )
三松さんはこの貴重な山を保護しなければ!と山ができた土地を買い取ったので、昭和新山は世界的にも珍しい三松家の私有地にある火山なのです。
国の特別天然記念物に指定されているということもあって特別な許可がない限り一般の登山は禁止です。その昔は中腹ぐらいまで登れた気がしますが。
有珠山も幾度となく噴火を繰り返してきていて、被害の大きかった昭和52年の山頂噴火の際に火山灰をかぶった車や記録写真など貴重な記録が火山科学館に保存されています
なので修学旅行で洞爺湖に行くと洞爺湖はもちろん、必ず昭和新山と火山科学館にも寄りました。
オロフレ峠より洞爺湖(中島) |
漢字クイズ
洞爺湖の説明はこれぐらいにして、修学旅行の道中です。
もちろん原稿を元に、と言っても簡潔になるべくわかりやすく案内をしていきますが、ある日急に思い出したのが私が小学校の修学旅行の時にガイドさんに教えてもらった「正直じいさんポチつれてーきは幾万ありとて桃から生まれた~」という歌。
ちょっと強引に歌詞がずっと続く終わりのない歌です。息継ぎも大変な歌です(笑
我ながらよく覚えてたなと思いますがその話を交えて小学生に車内で教えて歌ってました。
「♪しょう~じきじいさんポチつれて~きは幾万ありとて桃から生まれたもしもしカアカア
カラスがはとぽっぽ~ぽーっぽぽっぽと飛んであ~そべ~べらめこんちきしょうでやっつけろ~
さつきは~恋の吹き流し~なんて長いんでしょう~じきじいさん~♪」
と最初に戻ります。エンドレス。
あとは漢字のクイズとか。スケッチブックを用意して事前にクイズを書いておきます。
と言ってもこんな感じの⬇️なんて読むでしょうか?
隅っこにカタカナの「ネ」が書いてある=答えはネズミです。という簡単なクイズ。
今時の子供に出したら鼻で笑われそうな気がする…笑
他にも何個かあったんですがさすがに記憶が…思い出そうと頑張ったんですが無理でした…
あとは走っている途中に嫌という程見かける畑や田んぼ。
珍しくはないですがこんなのも話に取り入れます。
「今、窓の外にはたくさんの田んぼがありますが土地を耕したり苗を植えたり、田んぼで働く人はみんな力持ちです。田んぼの田の字にちからを加えるとなにになるでしょう?」
答えは「男」です。みんなのお父さんも一生懸命働いて力持ちでしょう?
「今度は田んぼに火をいれるとなにになるでしょうか?」
答えは「畑」。焼畑というのがありますが火をいれることで作物がよく育つようにするためです。
「では次は田んぼに心を入れると…?」
答えは「思」。心を込めてみんなが美味しく食べてくれますようにって思って農家の方達は食べ物を作ってくれているんですよー。
厳密には今だったらちょっとPTA的な問題発言になりそうな気もするし(お父さん…のくだりとか)、田んぼに火ってそんな無茶な。な感じなんですが、日本語って素晴らしいねぇなんて思いながらクイズを出していたらその次の降車時に先生に褒められました。漢字遊びいいですねーって。ありがとうございます!(めちゃくちゃ嬉しい)
小学生はこんな感じの遊びを混ぜた案内が多いですが中学生になるとそうはいきません。
こちらも社会見学的に真面目に案内するようになりますが、ガイドはずっとみんなに向かって話しているので時折「~~ですがどうですかー??」と話を振ることがあります。が。
多感な時期の中学生は一切返事がない事がほとんど…それどころか車内で席はおそらく決まっているはずなのに全員バス後部にぎゅうぎゅうに固まっています。バスの前方はガラーン(笑
高校生になると余裕が出てくるのか友達感覚で接してくれたり結構会話してくれるんですが、中学生のツアーは正直一番きつかったです。
一番前に座って一生懸命返事してくれてた先生、ありがとうございました…笑
修学旅行が終わってから「ガイドさんありがとうございました!ところで私は○○と○○が好きなんだけどガイドさんはなにが好きですか?」って手紙をくれた小学生の女の子とは数年文通してました。とてもいい思い出です。あの子の記憶にも楽しかった記憶として残っててくれてると嬉しいなぁ。
美瑛で見かけた虹 |