バスガイドの一日 〜ツアー開始から終わりまで〜


一日の流れ

バスが出発してまずは必ず添乗員さんの挨拶があります。
自己紹介と簡単にツアーの内容説明と注意事項などなので5、6分もあれば終わります。が。
その時は出発地点から高速に乗るまで10分以上かかる場所だったんですが、
冗談で「えー、高速乗るまで喋っていいですよー笑」って言ったら本当に頑張って話してくれました…。
あの時の可愛い添乗員さん無茶振りしてごめんなさい…。まさか本当に喋ってくれると思わなくて。
その後は精一杯案内を頑張らせていただきましたもちろん!

私がまず必ずお話してたのが、「皆さん今乗られたバスが何色だったか覚えていますかー??」です。
途中途中で寄る休憩時や観光地、集合の時に迷う方が多いからです。
観光地なんて行くと特にたくさんの、それはもう色とりどりのバスが止まってるので
まして最初の休憩なんかだとお客さんもまだ添乗員の顔もガイドの顔もうろ覚えなので。

「正解は赤ですよー。赤い車体に文字が大きく書いてありますよー」と説明し
「そして前にはベテランの運転歴うん10年のイケメン運転手さんが座ってるので、次に止まって降りる時にみなさん顔を見て覚えてくださいね^^」と。横で運転手さんは「ははっ」っと笑ってますが(笑

そうするとお客様は実際に降りる時に運転手さんの顔を見て軽く話しながら降りたりしてくれます。
ツアーの最中では意識しないと運転手さんと会話することなんてないのでコミュニケーションを取れるいい機会(というと大げさかな)です。運転手さんは目立つことはないですが大事な旅のメンバーですからみんなで楽しい旅にしたいですしね。

(私がついて勉強していたガイドさんは話すたびに「この運転手さんは数十年のベテランで~」「まだ入って3ヶ月の新人なんです!」とかいろいろ変わってて(同じ人の事です)。ある日その運転手さんに「○○ちゃん(ベテランガイドさんの名前)、新人だったりベテランだったり俺どっちかにしてくれよお~笑」って言われてました笑)

江別市の田園風景


真面目に楽しく

道中は前もって確認していた原稿を元に、朝チェックしていた時事ネタなんかも混ぜながら話し続けます。
原稿は初めての時に感じた通り超真面目な文面が並んでるので、自分で調べた情報なんかも混ぜながら。
歌は私はほぼ歌わなかったと思います。話し続けるという…でも広ーーい北海道、途中あまりにも何もない時や昼食後なんかは「少し休憩時間にしますね、車窓から見える風景を焼き付けておいてください^^」とか言ってマイクを置いてました。(=ステップに立って前を見ています)ひたすら聞かされ続けるのも疲れますよねぇ。

バスが進み、そろそろ案内しなきゃいけないあの建物が見えてくるな。よし、っとマイクを持って「皆様、お休みになれましたでしょうか。まもなく左手に茶色の建物が見えてきますが、これは○○年に建築されたもので北海道初代長官の岩村通俊さんが~」っと建物が見えてくる前に先に説明を。さあ後は実物を見て…

「その建物が左手に見えて参り…」まで話したところで運転手さん左折。えっ。なぜ?!(笑)(予定では直進です)なんでー!違う違う!なんて運転手さんと話してる場合ではないのでそのままマイクで
「えーと、右手に移ってまいりましたこちらの建物です」
うん、何事も臨機応変にです。コントみたいになってしまいました。がお客様は笑ってらしたのでおっけーです笑
(運転手さんの勘違いで曲がってしまったらしい)

石狩で見かけた小屋


昼食からツアー終わりまで

そんな笑顔も時折見つつ、昼食です。
休憩所や食事時は大抵別に運転手さん・ガイド用のスペースがあるのでそこに行きますが、ツアーによってはお客様と一緒の事もあります。
ご自分の地元の事を教えてくれたり北海道のあれこれを聞いてくれたり、私が先に案内した事で興味を持って質問してくれたりすると凄く嬉しかったです。楽しんでいただけてるのかなぁ、あぁ、役に立ててるなぁって。
ちなみに昼食時も運転手さんにお茶を用意したり、気を配りつつ食事をとります。

午後はまた原稿に載っている案内するポイントや建物、北海道の歴史や地名クイズなどなど話しながら終点の地へと向かいます。
「どうぞこの楽しかった時間をご自宅まで無事にお持ち帰りください」と。
やはり降車時の見送りの時に降りてくるお客様に「ありがとう楽しい旅でした」と言われる瞬間が、一番素の笑顔がこぼれ、「よかった…」で心がいっぱいになります。
そうして皆さんを見送り車内に忘れ物がないかを確認し、添乗員さんにお礼とまたよろしくお願いします、と挨拶をして車庫へ戻ります。
そのあとに仕事が入ってなければ。

京極町「ふきあげ公園」


お客様の降車後は

私が働いてた頃はまだ景気も良くて忙しかった頃なのか、大体そのまま次の日も別の仕事が続くことが多かったです。

そうすると札幌着で終わりの時でもそのまま運転手さんと一緒に前泊です。
札幌市内に住んでいた私は一旦帰ることもできますが、次の日の朝が早かったりするのでそのまま泊まりになります。(無理に帰ってもいいんですが、そうすると運転手さんの心象的にアレです)
なので一度出るとなかなか家に帰れない感じなんですが、前もってスケジュールは確認しているので、「ああ、ここで一回切れるから帰れるかな」とか考えながら持ち物を準備して家を出ます。ただ必要最小限(2、3泊程度)の用意をして、ほとんどは乗務員用の宿で洗濯をする事が多かったです。

そうして後泊のような前泊のような状態の宿に着くとまずは車内の掃除。
お客様が降りた後の移動中にゴミを集めたりしてるので、宿に着くとガイドは車内の掃き掃除、窓の拭き掃除をします。
運転手さんはバスの洗車。といってもやはり大きいので大変です。泊まる場所によっては大型バスの洗車機があったりするのでそこで洗いますが、そのあとはもちろん手作業で拭きあげます。
宿に着くと外は真っ暗で窓に着いた脂などが車内からは見えないので、外で作業している運転手さんに汚れてる箇所を教えてもらいながら丁寧に拭きあげます。
窓が汚れているなんて観光の魅力が半減ですから。

登別「地獄谷」


夕食と明日の準備

車内外の掃除が終わると夕食です。今日の話しや次の仕事の話しなど(もちろん次の日は違う運転手さんと仕事になる事も多いのでここで合流したりします)お疲れ様でした、とビールを注ぎながら雑談です。
次の日もあるので8時か9時ぐらいには解散。が、ここで運転手さんの手袋を預かります。夜ガイドが洗って干して、翌朝運転手さんに渡すんです。か、甲斐甲斐しい…。初めて聞かされた時は「え!そんなことも?!」って思いましたが旅の安全を左右する運転手さんの大事な手袋です。手洗いして翌日にお渡しです。
(全部のバス会社がそうだとは限らないです。むしろ私のいた会社だけだったのかも知れません)

そんなこんなでようやくお布団へ。あ、目覚まし目覚まし。
ただ別のツアーで同じ会社の同僚ガイドさんと同室になる事もあり、当然出発時間は違ったりするので、あまりうるさくない目覚ましが必須です。音が小さいけど気合いで起きます…
翌日のツアーの原稿に目を通しておやすみなさい。


大雑把ですが一日の流れはこんな感じでした。
記憶の欠片を合わせ合わせなので読みにくかったらごめんなさい。

夕張らへんの山中















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