きっかけ

昔話 バスガイドになったきっかけ

ウン10年前に観光バス会社で働いていたことがあります。
今まで働いてきた中でも貴重な経験をたくさんさせてもらった会社で、私の中ではとても楽しかった記憶です。ただ、普通に高校卒業して就職活動をして試験を受けて…ではなく
あるキッカケから入社できたんですが、ちょっと特異なパターンだったと思います。
(同級生にも別会社でバスガイドになった子がいたけれど、ちゃんと就職活動して入社してた)

美瑛のあたりの丘


当時18歳。某靴屋さんでバイトをしてる時に新人の女の子が入ってきました。Kちゃん。
明るくてサバサバしてて、いわゆる「モテるオーラ」が出てる子で
まだ遊びたかったその頃の私にはとても刺激的な感覚を持ってる子だったし
同じ年だったのもあってすぐに仲良くなりました。
車の免許も取って(Kちゃんが)意味もなく夜な夜な2人でドライブしたり、Kちゃんの家に泊まって一晩中騒いでたり。

Kちゃんはお兄さんがいたけどもう家を出ていて、母親と2人で暮らしてた。
いつも遊びに行くと明るく笑って出迎えてくれる、気さくな、でもビシッと芯の通った人でちょっとおっかない部分もある人で、でも気品もあって。
なんていうか昔の芸者さんというか女将さんというか。そんな感じのイメージ。

今は見るコトができない哲学の木

Kちゃんと同じお店で働きながら夜遊びしながらフラフラしてる時におばさんに言われた。
「あんた達、暇ならうちの会社で働いてみたら」
バイトして遊びまくってばかりいた2人を見るに見かねたのでしょうw
ちゃんと地に足をつけろ、と言いたかったんだろうな。
おばさんが働いてた会社は、地元札幌からちょっと離れた場所にある交通会社、そこでバスガイドとして働いてました。(本当は車で三時間かかるくらい離れてる場所なんだけど北海道感覚で「ちょっと」にしとく)

大手ではないのでそれまで聞いたこともなかった会社だし、まったく関わったことのない世界の話に「へえー」と答えたぐらい、あまり興味も、感動があったわけでもなかった。
ただKちゃんが一緒にやってみよう、というので試しに一度バスに乗せてもらうことに。

普通の大手の会社ならかなり異例の事でバレたら会社に怒られるんじゃ?と思うけど
仕事終わりの運転手さんと待ち合わせをしてバスに「乗せて」もらった。
もちろんお客さんはいない。

修学旅行とかでしか馴染みのない観光バスの車内を見て一通りはしゃいで
運転手さんの横の壁というか、通路に面しているところに
ガイドが後ろを向いて立つときに使う「背もたれ」が収納されてるんだよ、とか
まずはそんな事も教えてもらいながら、格好つけてマイク持って立ってみたり。

調子に乗って「ようこそ北海道へ!ぜひ楽しい思い出をたくさん作って~」みたいな、その時に思いつく限りのそれっぽいセリフを吐いてた気がする。
それが良かったのか運転手さんにもおばさんにも「やってみたらいいんじゃない?」と言われすっかりその気になった。

そうして数日後、おばさんに連れられ会社へ。
多分先に社長なんかには話を通してあったみたいで簡単な説明を受けただけで
特に面接とかした覚えもない。一応履歴書は持って行ったかなぁ(記憶が消えてるだけかも)

大倉山シャンツェ

事務所を後にしてそこから車で10分ほどのバスの車庫に行くと、他の運転手さんたちが居て皆様にご挨拶。
「初めまして、私〜」の言葉に被せ気味に「ほら、食えーうまいぞ」ってストーブの上で焼いてた餅をもらった。
(食べたら喜ぶから食べてあげて、とおばさん。まるで私、孫のよう笑)
親戚の家にでも来たいみたいな雰囲気。この会社はアットホームな肩肘張らない雰囲気なのねー、って感じた。

初めてのちょっと特殊な世界に緊張はあったけど、運転手さんたちの優しさと、なにより心強いおばさんのサポートですぐ馴染めた気がする。

そこから制服を受け取り案内用の原稿を受け取り、最初は先輩について勉強させてもらう、という流れだった。
車内外で先輩の話す内容とか話し方とか、ツアー客や団体様の時の流れの違いとかいろいろと実地研修。
大手だと新人ガイドだけの研修とかあるけれど、当時新人は私だけだったのでひたすら先輩について勉強をして、そうして独り立ちしていくようになった。

そういや結局Kちゃんは入社しなかったな…あれ??笑

小樽オルゴール堂前よりルタオ本店の西洋風建物


というか書いてて思ったけどゆるすぎる…笑
おばさんの力が凄かったのか、そーゆう時代だったのか、単にローカルな地域だったからなのか、
今思えばいろいろとゆるかった…逆にそのおかげで働くコトができたのかも知れないけれど。

バスガイドの経験はなかなか出来ない特殊なものだし、景気のいい時期だったからなのか、気づいたら1ヶ月近く休みがない!って事もあったけど今まで働いてきた中で一番楽しかった。
巡り合わせなのか、誘ってくれたおばさんにはすごく感謝しています。

ちなみに当時、青森や秋田なんかのバス会社が北海道に来ていることはあったけど
(「フェリーで行く!北海道バス旅ツアー!」みたいなのだったのかな)
北海道の観光バスは道内のみで本州に行くことはありませんでした。
たまに観光地で出会う内地(本州)のバスを見ると
「大変だねぇ…」としみじみしてましたw